自筆証書遺言書の保管制度について(3)~遺言書をもっと身近に~
令和2年7月から、新しく自筆証書遺言書の保管制度が開始されました。
この制度により、自筆証書遺言の弱点について、ある程度改善されるのではないかと思われます。
そこで、このブログでは4回に分けて、この制度の特徴はどのようなものか、この制度をどのように利用することができるのかなど、この制度の詳細について以下の構成でご紹介いたします。今回はその3回目です。
1.自筆証書遺言書の保管制度って何?~制度の概要・特徴~
2.自筆証書遺言書をどのように預けたらいいの?~遺言者の手続き~
3.相続人はどのように遺言書を見ることができるの?~相続人等の手続き~
4.遺言書の存在をどのように知ることができるの?~通知について~
5.まとめ
このブログを通して、遺された大切な方々のために、遺言書を身近なものとして考えてみるきっかけになれば幸いに存じます。
3.相続人はどのように遺言書を見ることができるの?
~相続人等の手続き~
相続人等は、どのように遺言者の遺言内容を確認できるのでしょうか。また、この制度を利用した相続手続きは、どのように行えばよいのでしょうか。
(1)相続人等は、どのように遺言書の存在を確認することができるのか ~遺言書保管事実証明書の交付請求~
ご自身を相続人または受遺者として書かれた遺言書が、遺言書保管所(法務局)に保管されているかどうかについて照会することができ、これについて証明した書面を遺言書保管事実証明書と言います。この遺言書保管事実証明書の交付請求は、遺言者の方が亡くなられた後でなければ利用できません。
①交付請求書の作成
・全国どの遺言書保管所(法務局)でも請求できます。
・交付請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者等です。左記の法定代理人、司法書士、行政書士等に依頼することもできます。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・添付書類:・遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本
・請求人の住民票の写し
・(相続人が請求する場合)相続人であることを確認できる戸籍謄本
・交付請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者等です。左記の法定代理人、司法書士、行政書士等に依頼することもできます。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・添付書類:・遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本
・請求人の住民票の写し
・(相続人が請求する場合)相続人であることを確認できる戸籍謄本
②交付請求の予約
遺言書保管事実証明書の交付請求には、遺言書保管所(法務局)の窓口で請求する方法と郵送により請求する方法があります。遺言書保管所の窓口で請求する場合、交付請求を行う遺言書保管所(法務局)を決めて、以下の専用ホームページ、電話、または窓口で予約を行う必要があります。遺言書保管所(法務局)の受付時間は、平日8:30~17:15(土・日・祝日・年末年始を除く)です。
③交付の請求
・先述の通り、遺言書保管事実証明書の交付請求には、遺言書保管所(法務局)の窓口で請求する方法と郵送により請求する方法があります。
・窓口で請求する場合、上記の請求書および添付書類を持参して、予約した日時に、遺言書保管所に行き請求します。手数料は、1通につき800円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
・郵送による請求の場合、上記の請求書および添付書類の他に、切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。
・窓口で請求する場合、上記の請求書および添付書類を持参して、予約した日時に、遺言書保管所に行き請求します。手数料は、1通につき800円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
・郵送による請求の場合、上記の請求書および添付書類の他に、切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。
④遺言書保管事実証明書の受領
・窓口請求の場合、運転免許証等により本人確認を行った上で、遺言書保管事実証明書が渡されます。
・郵送による請求の場合、請求人の住所あてに遺言書保管事実証明書が送付されます。
・遺言書が保管されていることが判明した場合、遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求により、遺言書の内容を確認することができます。
・郵送による請求の場合、請求人の住所あてに遺言書保管事実証明書が送付されます。
・遺言書が保管されていることが判明した場合、遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求により、遺言書の内容を確認することができます。
(2)相続人等は、遺言書の内容を、どのように書類として取得できるのか ~遺言書情報証明書の交付請求~
相続人、受遺者、遺言執行者は、遺言書情報証明書の交付請求により、遺言書保管所(法務局)に保管されている遺言書の内容を確認することができます。この請求は相続開始後に限られます。
①交付請求書の作成
・全国どの遺言書保管所(法務局)でも請求できます。
・交付請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者等です。左記の法定代理人、司法書士、行政書士等に依頼することもできます。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・添付書類は以下の通りです。
(i)法廷相続情報一覧図の写しに住所の記載がある場合
・法廷相続情報一覧図の写し(住所の記載があるもの)
(ii)法廷相続情報一覧図の写しに住所の記載がない場合
・法廷相続情報一覧図の写し(住所の記載がないもの)
・相続人全員の住民票の写し(発行後3か月以内)
(iii)法廷相続情報一覧図の写しがない場合
・遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票の写し(発行後3か月以内)
(iv)受遺者、遺言執行者等が請求する場合
・請求人の住民票の写し
ただし、相続人等による遺言書情報証明書の交付請求後に、遺言書の保管の通知を受けた、その他の相続人等(当初、交付請求しなかった相続人等)が交付請求する場合は、上記の添付書類は必要ありません。
・交付請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者等です。左記の法定代理人、司法書士、行政書士等に依頼することもできます。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・添付書類は以下の通りです。
(i)法廷相続情報一覧図の写しに住所の記載がある場合
・法廷相続情報一覧図の写し(住所の記載があるもの)
(ii)法廷相続情報一覧図の写しに住所の記載がない場合
・法廷相続情報一覧図の写し(住所の記載がないもの)
・相続人全員の住民票の写し(発行後3か月以内)
(iii)法廷相続情報一覧図の写しがない場合
・遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票の写し(発行後3か月以内)
(iv)受遺者、遺言執行者等が請求する場合
・請求人の住民票の写し
ただし、相続人等による遺言書情報証明書の交付請求後に、遺言書の保管の通知を受けた、その他の相続人等(当初、交付請求しなかった相続人等)が交付請求する場合は、上記の添付書類は必要ありません。
②交付請求の予約
遺言書情報証明書の交付請求には、遺言書保管所(法務局)の窓口で請求する方法と郵送により請求する方法があります。遺言書保管所の窓口で請求する場合、交付請求を行う遺言書保管所(法務局)を決めて、以下の専用ホームページ、電話、または窓口で予約を行う必要があります。遺言書保管所(法務局)の受付時間は、平日8:30~17:15(土・日・祝日・年末年始を除く)です。
③交付の請求
・先述の通り、遺言書情報証明書の交付請求には、遺言書保管所(法務局)の窓口で請求する方法と郵送により請求する方法があります。
・窓口で請求する場合、上記の請求書および添付書類を持参して、予約した日時に、遺言書保管所に行き請求します。手数料は、1通につき1,400円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
・書類送付による請求の場合、上記の請求書および添付書類の他に、切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。
・窓口で請求する場合、上記の請求書および添付書類を持参して、予約した日時に、遺言書保管所に行き請求します。手数料は、1通につき1,400円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
・書類送付による請求の場合、上記の請求書および添付書類の他に、切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。
④遺言書情報証明書の受領
・窓口請求の場合、運転免許証等により本人確認を行った上で、遺言書情報証明書が渡されます。
・書類送付による請求の場合、請求人の住所あてに遺言書情報証明書が送付されます。
・遺言書情報証明書は、これまで遺言書の原本を必要としていた相続登記手続きや銀行での各種手続きに使用されることが想定されています。
・家庭裁判所の検認は不要です。
・書類送付による請求の場合、請求人の住所あてに遺言書情報証明書が送付されます。
・遺言書情報証明書は、これまで遺言書の原本を必要としていた相続登記手続きや銀行での各種手続きに使用されることが想定されています。
・家庭裁判所の検認は不要です。
⑤その他の相続人等への通知
遺言書情報証明書の交付後、遺言書保管所(法務局)は、当初、交付請求していなかった、その他の相続人等に、遺言書を保管している旨を通知します。
(3)相続人等は、どのように遺言書の内容を確認することができるのか ~相続人等による遺言書の閲覧~
相続人等は、遺言書の閲覧請求により、遺言書保管所(法務局)に保管されている遺言書の内容を確認できます。閲覧の方法は、1)モニターによる遺言書保管ファイルの記録の閲覧(遺言書の画像等)、2)遺言書の原本の閲覧の2通りです。この請求は相続開始後に限られます。
①遺言書の閲覧の請求書の作成
・モニターによる閲覧は、全国どの遺言保管所(法務局)でも請求できます。遺言書原本の閲覧は、遺言書の原本が保管されている遺言書保管所(法務局)に限り請求できます。
・閲覧請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者、およびその法定代理人です。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・請求時に、特に添付書類は要求されていませんが、遺言書情報証明書、遺言書保管事実証明書、関係遺言書保管通知の写しを添付した場合、申請書の一部の記入が省略できます。
・閲覧請求できる人は、相続人、受遺者、遺言執行者、およびその法定代理人です。
・請求書に必要事項を記入します。(以下のリンク先からダウンロード)
・請求時に、特に添付書類は要求されていませんが、遺言書情報証明書、遺言書保管事実証明書、関係遺言書保管通知の写しを添付した場合、申請書の一部の記入が省略できます。
②閲覧請求の予約
遺言書の閲覧請求を行う遺言書保管所(法務局)を決めて、以下の専用ホームページ、電話、または窓口で予約を行う必要があります。遺言書保管所(法務局)の受付時間は、平日8:30~17:15(土・日・祝日・年末年始を除く)です。
③閲覧の請求
・予約した日時に、遺言書保管所(法務局)の窓口で前述の請求書を提出し、本人確認を行います。本人確認では、顔写真付きの身分証明書(運転免許証等)が必要となります。
・手数料は、モニターによる閲覧は1回につき1,400円、遺言書の原本の閲覧は1回につき1,700円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
・手数料は、モニターによる閲覧は1回につき1,400円、遺言書の原本の閲覧は1回につき1,700円です。手数料納付用紙に必要な収入印紙を貼付して提出します。
④遺言書の閲覧
モニターによる遺言書保管ファイルの記録の閲覧(遺言書の画像等)、または遺言書の原本の閲覧により、遺言書保管所(法務局)に保管されている遺言書の内容を確認することができます。
⑤その他の相続人等への通知
相続人等が遺言書の閲覧をした後、遺言書保管所(法務局)は、当初、閲覧請求をしていなかった、その他の相続人等に、遺言書を保管している旨を通知します。
以上、相続人等(相続人、受遺者、遺言執行者等)が、保管されている遺言書の内容を、どのように確認することができるのかについて、ご紹介いたしました。
なお、交付請求時の必要書類等については、今後、変更される可能性もありますので、事前に、ご自身に該当する遺言書保管所(法務局)に確認された上で、手続きを進められることを推奨いたします。
次回は、最終回として『遺言書の存在をどのように知ることができるの?~通知について~』を、ご紹介いたします。
なお、交付請求時の必要書類等については、今後、変更される可能性もありますので、事前に、ご自身に該当する遺言書保管所(法務局)に確認された上で、手続きを進められることを推奨いたします。
次回は、最終回として『遺言書の存在をどのように知ることができるの?~通知について~』を、ご紹介いたします。